2024年5月29日水曜日

【参考】安田記念参戦・ロマンチックウォリアーの馬主ピーターさんインタビュー(前編)

安田記念に参戦するロマンチックウォリアーの馬主さんのインタビューがyoutubeにあったのでキャプチャ画像と共に内容を紹介します。


▼ウォリアーバーでのインタビュー

ピーター・ラウさん(左)と、インタビュアーのParisさん(右)。


ワインを飲みながら、リラックスした雰囲気。

場所は、ピーターさんの自宅で、ロマンチックウォリアーにちなんでウォリアーバー(浪士吧 Warrior Bar)と名付けたプライベートバー。

ピーターさんは日本通でもあり、部屋には刀が飾られたり、鯉が泳ぐ水槽もあります。

2023年9月10日に公開されている動画なので、昨秋オーストラリア遠征の前というタイミング。動画では、なぜオーストラリア遠征を決断したかにも触れています。



ロマンチックウォリアーの数々の優勝記念品や写真が飾られており、友人たちとここで時間を過ごすのが大好きだそう。



▼根っからの競馬ファン


ピーターさんは、昔からの競馬ファンだったそうで、香港競馬の思い出の馬として、80年代に活躍した3頭の名を挙げています。

GILGIT(漢字名称・超捷/1981-84年引退、24戦11勝)、GAY EIGHTIES(快楽八十/1982-88年、39戦7勝)、CO-TACK(同徳/1982-86、19戦12勝)などの名を挙げていますが、日本馬の香港遠征が盛んになり、交流が活発化する前の時代ですね。

余談ですが、これらの馬の戦績を見ると、現在調教師のアンソニー・クルーズの名が騎手として載っています。

うーん、香港競馬の歴史を感じる。クルーズ調教師は、のちに日本でサイレントウィットネスでスプリンターズSを、ブリッシュラックで安田記念を勝ちましたね。


ピーターさんの話に戻しますと、自分が馬主になる前、友達の馬主がいて、いつか自分も馬を持ちたい、と願っていたそうです。



▼ついに馬主に。しかし最初は苦いスタート。


そして2013年、経営する会社が上場を果たしたタイミングでついに馬主登録したとのこと。

ただ、会社(家庭用品販売会社)にちなんで名付けた最初の馬「家品大王(King of Household)」は25戦したものの未勝利のまま引退してしまい、馬主としてのスタートは苦いものだった、と振り返っています。

(このインタビューではなく他の記事で読んだのですが、「家品皇者(Household King)」という馬は1050万香港ドルで購入し、2戦1勝の後、調教中に故障発生、死亡してしまったそう。)


しかし後に、ロマンチックウォリアーが活躍したことにより、馬主になっても街で声をかけられることなどなかったのに、競馬場ではもとより、スーパーマーケットで並んでいる時にも声をかけられるようになったという笑い話を披露しています。



▼仕事は仕事。競馬は競馬。そしてどちらも、大事なのは諦めないこと。


上場のタイミングで馬主になったピーターさんですが、競馬場にビジネスの話を持ち込むことはないと言い切っています。

競馬をきっかけにしてビジネスを広げるつもりはなく、競馬場では友達との交流を大切に楽しむようにしているそうです。



上場までの道のりについても語っています。

小売りのビジネスを始めるまでは卸売りの仕事をしていたが、消費者に直接販売することに魅力を感じ、小売りビジネスに乗り出し、最初はいわゆる100円ショップから始め、その後もう少し価格帯を上げ多様な家庭用品を扱う小売チェーンを展開するようになったそうです。

理念は家庭に必要なものを安価でお届けする、というもの。

馬主と同じで、ビジネスも最初は苦しかったが、とにかく歯を食いしばって続けること、この点は馬主とビジネスは同じで、そのうち馬主としてはロマンチックウォリアーと巡り会えたし、ビジネスは上場を果たせたと、諦めないで踏ん張ることの重要さを語っています。


ちなみにピーターさんが創業し、香港でチェーン展開している日用品ストアは「日本城」という名前で、私が香港に住んでいるとき近所にもありました。


扇風機や除湿機などの小さめの家電から、サランラップや電池などの日用品、文房具、お菓子など様々なものが売られています。



▼馬の選び方、調教師の選び方。

ピーターさんが馬主として求めるのは「栄誉」と「幸福感」。

この価値観に立ち、数を使って細かく稼ぐ馬より、高くても大レースを勝つ可能性がある馬を選ぶ、そうです。

ロマンチックウォリアーを購入したオークションでは、”500万香港ドル(購入年2021年レート換算で約7000万円)に近づくまでは手を挙げない”と戦略を決め、後半から参入し競り落としたそうです。高額になるということは、他の目の肥えた参加者もその馬の将来性を認めているわけで、ピーターさんとしては他の参加者の評価も参考にさせてもらったと話しています。


また、調教師については、香港競馬は華人(中国系)の調教師、オーストラリアの調教師、また前出のクルーズ調教師のようにポルトガル出身の調教師もいますが、ピーターさんはコミュニケーションと、自分の意見に耳を傾けてくれる点を重視し、華人の調教師を好むそうです。

ロマンチックウォリアーの沈集成(シャム)調教師とは、細かいことまで話し合った上で騎手のことやレースのことを相談できるので、とても良いパートナーシップだと語っています。




▼ロマンチックウォリアーの騎手乗り替わりについて


このインタビューが行われた時点で、ロマンチックウォリアーの戦績は14戦10勝。

騎手は、デビューから4戦はモレイラで、デビューから4連勝。

そのあとティータン(モーリシャス出身の、香港競馬を主戦場とするジョッキー)で4戦3勝。

そしてマクドナルドが騎乗して2戦2勝。

そのあとまたティータンが乗りますが、初めて2連敗してしまいます。

このうち1敗目の2023年1月のマイル戦・スチュワーズカップはゴールデンシックスティには誰がどう乗ってもほとんど勝ち目はなかっただろうとピーターさんも振り返っていますが、2敗目の2000m戦の香港ゴールドカップについては、マクドナルドなら勝っていただろうと話しています。(レースは、ゴールデンシックスティに頭差負け。)

インタビューでは、ティータンとの約束・チャンスはここまでだったと話し、その後またマクドナルドで1勝、そしてパートンで1敗しています。

ここまでで14戦10勝。

ピーターさんとしては、オーストラリアを主戦場にするマクドナルド騎手は大レース以外では香港まで来られないこともあるので、香港でも主戦を確保する意味で何人か試してみたそうです。

そしてこのインタビュー後、オーストラリア遠征では地元のマクドナルド騎乗でターンブルSは4着に終わるものの、大目標のコックスプレートは見事優勝しています。

その後の香港の3戦(23年12月の香港カップ、24年2月の香港ゴールドカップ、4月のQEⅡC)はいずれもマクドナルド騎乗で3連勝しているので、主戦はマクドナルド騎手と言っていいでしょう。


ちなみに、モレイラ騎乗でデビューから4連勝していますが、モレイラがその後香港を離れてしまったので、ティータンに乗り替わった経緯もあったようです。


モレイラを自宅に招き、日本料理や出身のブラジル料理を自ら作ってパーティーを楽しんだこともあるそう。



後編へつづく)



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